貧血とは、血液中のヘモグロビン(血色素)濃度が正常範囲以下に低下した病態を云います。赤血球はタンパク質と鉄で出来たヘモグロビンを大量に含む細胞で、骨髄で作られます。平均寿命は20 日で、老化したり損傷したものは脾臓で破壊、処理されます。赤血球の役割は、酸素を肺から体の各部に運び、炭酸ガスを肺に持ち帰ることです。貧血が進むとからだの各部(心臓、脳、腎、血管、筋肉、皮膚をはじめ、からだの全ての組織)が活動、生存するために必要な酸素の供給量が不足し、体調維持に悪影響を与えます。とくに、心臓は、酸素の供給量を保つために心拍数を増加させるので、心臓の負担が大きくなり、心臓肥大など心臓機能障害の原因ともなります。 貧血が原因となる症状

貧血は、全身への酸素供給を減少させ、諸臓器・組織の機能
を障害することとなり、カラダの各部位に症状が現れます。

息切れ 動悸 立ちくらみ 肩こり
頭痛 疲れやすい カラダがだるい
むくみ 顔色が悪い 肌がかさつく
爪が弱る 口内炎 冷え性

 

ヘマトクリットは、Htと表記され血液中に占める赤血球の割合をあらわす数値で、貧血の状態を検査します。Htが 30なら血液中の赤血球量が30%ということです。
       透析者の貧血の主な原因

  主に腎臓で作られる造血ホルモン「エリスロポエチン」の腎不全による分泌低下や反応性低下は赤血球の産生低下をもたらす。

  食事制限や食欲不振による栄養不足(必須アミノ酸を含む良質のたんぱく質や鉄分、亜鉛、ビタミンB類の摂取不足)も赤血球産生低下をまねく。

  インドキシル硫酸など血中の毒素の濃度が高いことやカルニチン欠乏、感染症、炎症によって、赤血球の産生障害や寿命短縮が促進される。

  二次性副甲状腺機能亢進症 副甲状腺ホルモンPTHの数値が高いと赤血球の産生障害や寿命短縮が促進される。

  透析時での血液損失(残血)。消化管からの出血。

 ヘモグロビンやHtの数値の低い貧血状態は、慢性的な酸素不足を心臓や諸臓器、組織に及ぼし、生体機能に悪影響をあたえるため体調悪化につながります。日本における統計でもHt2530%の患者群とHt3035%の患者群を比べると後者のほうが死亡のリスクが少なくなっています。さらにHt35%の患者群では30%の患者群を比べてQOLが良好であるとの報告も出ているのでHt3336%で維持することが望まれています。          貧血を防ぐために大切なこと

    赤血球を作るために必要なタンパク質、鉄、亜鉛、ビタミンB類、カルニチンなどの栄養を含んだ食事を不足なく十分に摂り、よい栄養状態を保つ。

    適度な運動を心掛けたり、睡眠不足やストレスの蓄積を防ぐなど、良い体調の維持に努める。

    十分な透析(出来るだけ透析時間を長くするなど)を受け、血中の尿毒素やエンドトキシンなど赤血球の産生や寿命に悪影響を与える物質を減らす。

    エリスロポエチン製剤の投与などの治療内容と関連する検査数値推移をしっかりと把握する。


目標値は、透析者の平均的正常値です。体質的な個人差により目標値から外れている場合もあるので、気になる数値が続くなら、医師に相談してください。病院からもらう検査結果は、ご自身の体調と数値の推移を表す大事な日記です。






血色素濃度 血色素とはヘモグロビンのことで、血液中に占めるヘモグロビン濃度のことです。Hb9.5g/㎗なら血液100㏄中のヘモグロビンが9.5gあるということです。ヘマトクリットと同じく貧血状態をチェックする検査指標です。この数値を3倍すると、ヘマトクリット値に近い数値となります。

赤血球 血液中の赤血球量を表します。RBC330なら血液1,000分の1㏄に赤血球数が330万個あるということです。平均赤血球容積率(MCV)は、ヘマトクリットを赤血球数で除した値で、赤血球の大きさを表し、基準値は
84
98fLです。基準値に比べ大きいと大球性貧血(主にビタミンB12、葉酸不足)の疑いがあるとされます。ヘモグロビンを赤血球数で割った数値をMCHといい、基準値(男性28.034.6、女性26.334.3pg)に比べて小さいと鉄欠乏性貧血を疑います。

血液中の赤血球などの血球部分を除いた血清に含まれる鉄量を示します。血清鉄は、血液内で鉄の運搬をするトランスフェリンというタンパク質と結合しています。体内の鉄総量に占める血清鉄は、わずか0.1%で、日中の時間帯によっては変動幅が2倍に達するほど大きく、この数値だけでは貧血の指標とはなりません。重要なのはトランスフェリンと鉄との結合割合を示すトランスフェリン飽和度(TSAT;血清鉄/相鉄結合能×100)です。TSATの基準値は、2230%です。透析患者の鉄欠乏性貧血の指標とされ、鉄補充療法の開始基準は、TSAT20%以下、フェリチン100ng/ml以下とされています。 


フェリチン 血清中に含まれるフェリチンの量です。フェリチンは、肝臓のほか脾臓、骨髄、筋肉などに多く存在する鉄を含むタンパク質で、役割は鉄の貯蔵です。トランスフェリンにより運ばれてくる鉄を細胞内に貯蔵し、鉄が必要な場合は速やかに利用できるように調整しています。また、フェリチンは鉄と結びついて、鉄の毒性を解消する機能もあります。

過剰鉄の害

エリスロポエチンが効きにくい人では、ヘプシジン(鉄吸収を制御するホルモン)が高値となり、鉄剤の過剰投与と相まって、貯蔵鉄(フェリチン)が過剰傾向にあるといわれています。鉄には強い毒性があり、血清フェリチン濃度が、500ng/ml以上では死亡リスクが、2.7倍に上昇することが知られています。過剰な鉄は、酸化ストレスを増大させ、動脈硬化の悪化や肝臓、心臓、すい臓などに重大な障害を引き起こし、全身性鉄沈着症の原因となります。

栄養ドリンク「エルピス」に配合されているカルニチン、オルニチン、アルギニンなどのアミノ酸類や葉酸、ビタミンB6B12などのビタミンB類と鉄、亜鉛などの栄養成分が、貧血改善に役立ちます。エルピスをご利用いただいている多くのお客さま方から「貧血が改善した」との報告をいただいていますが、皆様の実感はいかがでしょう?


 エリスロポエチン製剤
エリスロポエチンは、主に腎臓(一部肝臓)から産生・分泌されるホルモンで、骨髄での赤血球産生を促進する作用があります。腎不全になるとエリスロポエチンの分泌が低下・欠乏するため、大部分の人が貧血になります。エリスロポエチン製剤が、1990年から透析患者に使用が可能となったために、貧血が画期的に改善しました。薬剤名:エポジン、エスポ、ネスプ、ミルセラなど。
また、2019年より腎性貧血治療の新薬として、エリスロポエチンの産生を促し、赤血球を増やす働きをする
HIF-PH阻害薬が使用できるようになりました。薬剤名:エベレンゾ、バフセオ、ダーブロック、エナロイ、マス-レットなど。